睡眠の衛生 いびき外来 睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療日帰りレーザー手術 慶友銀座クリニック 東京都中央区

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睡眠の衛生

正常睡眠と睡眠障害

① 睡眠とは
正常人の睡眠は呼吸循環調節も含めた生体防御機能を備える生存戦略です。脳が高次情報処理機能を発揮する為に、脳を持つ生命体に特有の能動的な生命に必須の生理機能が営まれる時間帯と考えられています。

② 睡眠の客観的な評価
睡眠の量と質を客観的に評価する方法として、脳波・眼電図・筋電図の3つの電気生理学的指標の測定が必要と考えられています。

③ 睡眠量(睡眠時間)
日常生活に支障がない睡眠時間には個人差があります。短時間の睡眠者と長時間の睡眠者の違いは、深い徐波睡眠の出現量ではなく、浅い睡眠時間の違いに由来する為、正常成人の1日に必要な睡眠ではその量よりも質が重要と考えられています。

④ 睡眠の質
睡眠段階は覚醒、段階1~4のノンレム睡眠、レム睡眠に分類されます。レム睡眠は入眠後に約90分サイクルで繰り返し出現しますが、睡眠の後半では1回あたりのレム睡眠が延長します。正常成人では中途覚醒は殆どみられず、睡眠効率が非常に高いです。

⑤ ノンレムとレム睡眠
ノンレム睡眠、特に徐波睡眠において、副交感神経が優位になり、血圧値、呼吸数、換気量、心拍数とも安定して、規則的になります。
レム睡眠では、交感神経が優位になり、血圧値・呼吸数・呼吸リズム・換気量・心拍数とも不安定になってしまい、変動が激しくなります。

睡眠衛生(睡眠をよくとるための生活態度)は、睡眠に関連する問題を解消して睡眠の質や量を向上させることを目的とした入眠の方法や睡眠の環境を整える方法のことです。厚生労働省がとりまとめた「健康づくりのための睡眠指針2014 睡眠12箇条」によると、よい睡眠とは生活習慣病の予防につながること、睡眠による休養感は心の健康に重要であることが言及されています。不眠治療にあたり、まず生活習慣や睡眠の環境を確認して、睡眠衛生指導を行った上で、薬物を用いた療法や認知行動療法等の適切な治療法の検討が必要となります。

厚生労働省 「健康づくりのための睡眠指針2014年度 睡眠12箇条」(改変)へ

1:よい睡眠で、体も心も健康に
2:適度な運動をする。しっかり朝食をとる。眠りと目覚めのメリハリをつける。
定期的な運動や規則正しい食事は、睡眠と覚醒のリズムを安定させます。特に朝食をとることや、朝光を浴びることは大切。就寝前の喫煙や飲酒やカフェイン摂取は、睡眠の質を悪くするので控える。
3:良い睡眠は、生活習慣病予防につながる
睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高める。肥満は睡眠時無呼吸症候群につながり、生活習慣病の悪化にもつながるので、肥満の場合は減量治療を含めた対策が必要である。
4:睡眠による休養感は、心の健康にも重要。
うつ病の9割近くに、何らかの不眠症状あり。眠れないとき、眠っても疲れが取れないときにはうつ病の可能性も。
5:年齢や季節に応じ、昼間の眠気で困らない程度の睡眠が必要
必要な睡眠時間は人それぞれ、日常生活ができればよい。加齢により自然に睡眠時間が短くなる。
6:よい睡眠のためには環境づくりが重要
寝室の温度や室温は心地よいと感じられる程度の調整を。夕方からの部屋の照明も落としましょう。就寝2時間前ほどに、ぬるめのお風呂にゆっくり入ることで、適切な深部体温の低下が得られて、寝つきやすくなります。
7:若年世代は夜更かしを避けて、体内時計のリズムを保つ
就寝1時間前は、PCのディスプレイを見ることをやめましょう。朝は明るい太陽の光を浴びて、体内時計をリセットしましょう。
8:勤労世代の疲労回復や能率向上には毎日十分な睡眠をとる
午後3時前に30分程度の短い昼寝をとることも有効
9:熟年世代は朝晩にメリハリをつけて、昼間に適度な運動をとり良い睡眠をとる
10:寝床に入るのは眠くなってから。起床時間は遅らせない。
寝床で過ごす時間が長くて眠りが浅いときは、むしろ接触的に遅寝・早起きの選択も。
11:いつもと違う睡眠には要注意
睡眠時無呼吸症候群や他の病気が隠れていることもあります。まずは医師に相談を。
12:眠れない、その苦しみを抱えずに専門家に相談して下さい。

生活改善によるいびきの治療(慶友銀座式)

① ダイエットをする:特に舌の奥に脂肪がつくと、舌根沈下が加速し気道が狭くなります。
リバウンドしてもまずダイエットが有効です。
② 鼻呼吸を行う:普段から意識して鼻呼吸を行うように心がけましょう
③ 横向きで寝る習慣をつける
④ 枕などの寝具を変える
⑤ 就寝前の飲酒は控える
⑥ 規則正しい生活をして、十分な睡眠を毎日とる
⑦ 深夜の仕事はなるべく避ける
⑧ 就寝2時間前までの、パソコン・スマホ操作。
⑨ 禁煙
⑩ 医師の厳格な指導下での睡眠薬や精神安定剤の服用

睡眠の質を高めるための7つの生活習慣

① 寝る時間より起きる時間にこだわる
② 部屋のカーテンを10cm開けて眠る
③ 朝食と昼食を1日のスケジュールから外さない
④ テレビのニュースは朝にみる
⑤ 夜遅い食事は少なめにとる
⑥ 眠たくなったらベッドに入る
⑦ それでも眠れないときはストレッチをする

参考 宮崎総一郎 脳に効く睡眠学 角川新書

交代勤務睡眠障害

勤務体制が交代の為、睡眠の時間帯の変化が激しく、睡眠はじめ精神や身体機能の障害がもたらされます。交代勤務睡眠障害は、交代勤務の為睡眠の時間帯が煩雑に変化することでおこる睡眠障害です。ホルモンのリズム(メラトニン・コルチゾール等)や、深部の体温のリズムは、夜間における勤務での睡眠のスケジュールにはなかなか同調しにくいです。起床した後疲労の回復感がとぼしくて、夜の勤務の時間帯での眠気と注意集中困難及び作業の能力低下がみられます。このような症状は、交代の勤務にともなう睡眠及び覚醒のスケジュールと、他での生体におけるリズムとの間のズレによるものです。治療として、夜間における高照度の光の照射があります。また夜間の勤務中の仮眠も有効です。米国ミズーリ大学の報告では、交代勤務睡眠障害を発症している人は、交通事故を起こす確率が3倍高くなるとのことです。

参考)
厚生労働省 e-health net 交代勤務睡眠障害
Bharadway N et al. Sleep disorders and risk of traffic crashes, A naturalistic driving study analysis Safety Sci. Vol140, Aug,2021

睡眠の日

9月3日は睡眠の日。睡眠についての正しい知識の普及と国民の健康増進を目的に、日本睡眠学会と公益財団法人神経研究所 睡眠健康推進機構(東京都文京区大塚4丁目45の16小石川東京病院3階)が3月18日を春の睡眠の日、9月3日を秋の睡眠の日と定めました。

ハイパフォーマンス10のテクニック

1 起床時間を一定にする
2 起きてすぐに光を浴びる
3 自分が眠くなる時間を把握し、仕事内容を的確に割り振る
4 繁忙期は70%くらいの力を出し続けるための仮眠をとる
5 起床後6~7時間後に仮眠をとる
6 仮眠前にカフェインを摂取する
7 本睡眠に影響を及ぼす眠りをとらない
8 寝室では眠る以外のことをしない
9 寝る前に難しいことを考えない
10 早く眠れる時は早く寝る

(出所)小林孝徳著「ハイパフォーマーの睡眠技術」

睡眠衛生教育で例示した生活習慣

1 就寝、起床時刻を一定にする
2 勤務明けの就寝時刻を午前中にする
3 新しいシフトが始まる前日から、生活時間を次のシフトに合わせる
4 二度寝は20分以内か90分以上にする
5 就寝前にゆっくり入浴してリラックスする
6 就寝3時間前からカフェイン(お茶やコーヒー等)を控える
7 深夜勤務が終わった後の就寝前にお酒を飲まない
8 深夜勤務時間以外の仕事の時、就寝前にお酒を飲まない
9 仕事明けから就寝前の間に軽い運動(激しすぎない運動)をする
10 就寝前にパソコン、ゲーム、携帯電話などの画面を見るのを控える
11 眠くなった時だけ布団に入る
12 布団に入ったら寝ること以外をしない
13 布団に入って15分以上寝付けないをきは布団から出る
14 就寝迄の間に明るい光が目に入るのを避ける
15 睡眠環境を整える
16 就寝中は家族に静かにしてもらう
17 就寝中は耳栓をする
18 毎回、ほぼ同じ時間に休憩をとる
19 勤務中の食事は軽めにする
20 勤務の休憩中に仮眠をとる
21 勤務中に眠い時はストレッチなどで目を覚ます
22 勤務中に同僚と声を掛け合い目を覚ます
23 勤務中には甘いもの(チョコレートやジュース、加糖コーヒー等)を多くとらない
24 帰宅前に入浴して帰るときは、眠気を覚ましてから帰る

引用文献:安藤敬子・影山隆之(2021).三交替勤務に従事する男性労働者の深夜勤務中の眠気に対する睡眠衛生教育の効果、産業精神保健 29(3)、273-285

睡眠の重要性

1 睡眠時間の6時間以下は心停止リスクが4~5倍
2 4時間睡眠が続くことで、血糖値を下げる力が半分になる
3 睡眠不足は肥満になる
4 睡眠の不足や不規則睡眠が癌の発症率を上昇させる
5 睡眠の不足はワクチンの効果も抑えてしまう
6 夜更かしは認知症のもとになる

参考 最新研究が示す病気にならない新常識 新潮新書 東京医科歯科大学 古川哲史著

睡眠での休養感を高める5つ

① 働く世代のかたは、1日に6時間以上の睡眠を確保しましょう。リタイヤ世代の方は長寝に注意しましょう。
② 平日によい睡眠をとると、寝だめや昼寝にできるだけ頼らない習慣づくりをしましょう。
③ 適度な運動の習慣を身につけて、肥満にも注意して、眠りの質を保ちましょう。
④ 就寝前の食事や飲酒や、タバコ、スマホ、カフェインの摂取は控えましょう。
⑤ 光や音や温度に配慮した快適な睡眠環境をつくりましょう。

厚生労働省 健康づくりネット(2023年3月版)知っているようで知らない睡眠のこと

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