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いびきと労働
いびきと産業医学
労働時の事故対策は産業医学の基本です。独立行政法人労働者健康安全機構(神奈川県川崎市中原区)での「睡眠時無呼吸症候群の診断と治療に関する研究 山口労災病院 循環器内科」の報告によると、ドライバー・シフトワーカーなどの職域での勤労者1.646名に対しての睡眠時無呼吸症候群の有病率を調査したところ、睡眠時無呼吸障害(3%ODIの低下により判断)は男性20.1%・女性10.6%でした。20年前に比べると約2倍増加していたとのことです。今後、勤労者の高齢化及び女性の進出があり、今後数値は上昇していくものと考えます。睡眠時無呼吸が原因である事故を起こせば、企業が責任を帯びる可能性があります。睡眠時無呼吸症候群はほぼ閉塞性睡眠時無呼吸なので、まずいびきをかきます。ベッドパートナーの方は、もし隣の人がいびきをかいていたら、本人にまず伝えてください。
[積極的な睡眠時無呼吸のスクリーニング実施の対象者]
1)睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状を持つ人:過体重(BMI>25↑)頭痛 強い眠気(日中),夜間の頻尿等
2)過去においての交通事故歴のある人
3)日中の眠気の有無は問わないが以下の職業の人
運転の業務・監視する業務・交代体制の勤務者・危険物を取扱する業務を従事する人
4)生活習慣病(糖尿病・虚血性心疾患・高血圧・脳卒中等)の生活習慣病がある人または既往者
参考)谷川他:SASへの対応 産業医の職務 Q&A(10版)編集員会編.産業医学2014
事故防止に向けての 睡眠時無呼吸の対策案
(大目標) 職業運転者に対する睡眠時無呼吸のスクリーニングを制度化する 及び 健康管理と運行管理の徹底をする
(中目標) 眠気に関連している事故が疑われる運転者に対して、睡眠の状況(過去1週間)と、他者からの「いびき」の有無を事故に対しての調査において検証必須。結果に応じて睡眠時無呼吸の検査を行う。
(小目標) 眠気に関連している事故が疑われる運転者に対して、睡眠の状況(過去1週間)と、他者からの「いびき」の有無を事故に対しての調査において検証必須。結果に応じて睡眠時無呼吸の検査を推奨する。
補足:事故は睡眠時無呼吸が原因ばかりでなく、他の健康の障害や、過労運転(特に中小事業所)があるので、これらの適正化とセットにした施策が必要です
参考)Miyoshi N and Tanigawa T Significance of Early Detection and Early Treatment of Sleep Apnea Syndrome (SAS) in the Workplace JJOMT, 66 pp1-10,2018